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2008年02月20日

らんま1/2 サトリ VS カイジ 利根川のイカサマ

逆境無頼カイジ Bet.19 限界 福本伸行 日本テレビ
カイジBet19限界

カイジは出す手をすべて、利根川幸雄に見通されてしまうため、気弱になり、本当に出したいカードが出せずに、別の安全なカードを出してしまいます。しかし、このカイジの気の迷いが幸いして、カイジはこのゲームに勝つことができます。

この話は、日本の民話などでもおなじみのサトリの話とフォーマットは同じです。

日本の民話 サトリ
昔のこと、人間の心を読むことのできるサトリという化物が、ある男の家へとやって来ました。サトリは男の心を読んでなんでも言い当ててしまいます。
「お前は今、俺にいなくなってもらいたいと思っているな」
「お前は今、その棒で俺を殴ろうとしているな」
こんな風に男は思っていることを全て言い当てられてしまい、困り果ててしまいました。すると突然、そばに置いてあったザルの目が外れてパチンとはじけて、サトリを打ちました。
サトリは驚いて、人間は心にもないことをする。と言って逃げて行ったそうです。

カイジの話では、利根川幸雄は、本当はイカサマをしていたのですが、そうであっても、相手の心を読むことがでるというのは、まさにサトリと同じです。そしてそれに対してカイジは、気の迷いから自分の心にないカードを出してしまうことで、サトリである利根川を出し抜くことができたのです。

サトリといえば、らんま1/2のアニメにも出てきましたね。

らんま1/2 熱闘編 第116話 あかねの心がわからない
高橋留美子 フジテレビ

あかねの心がわからない
人の心をなんでも読むことができる、サトリ君。でも、あかねの心だけはどうしても読むことができません・・・。というような話でした。

このような、サトリの類型は、色々なところで応用されているようです。たとえば、サトリを、超能力者とすれば、六田登のダッシュ勝平の「超能力で決勝戦!」や、小林よしのりの「その先は言わないで!」という台詞でおなじみの「異能戦士」という作品が上げられると思います。

サトリを、コンピュータとすれば、ルパン三世に次のような話がありました。

ルパン三世 1st 第22話 先手必勝コンピューター作戦!
モンキーパンチ 日本テレビ

ルパン三世 先手必勝コンピューター作戦

FBIのコンピュータ捜査官が日本にやってきて、ルパンの犯行手口をコンピュータで解析してしまいます。ルパンはコンピュータの予想通りに犯行を行うのですが、気絶させておいた列車の運転手たちが、たまたま息を吹き返してしまうというハプニングのために、コンピュータの予測とはちょっと違った行動をします。そして、銭形警部がコンピュータの指示に反して行動したために、ルパンはなんとか逃げおおせることができます。

また、コンピュータで犯人の行動を予想するという話は、アメリカのTVドラマの「逃亡者」にあったと思います。(ハリソン・フォード主演の映画ではなくて、デビッド・ジャンセンがリチャード・キンブル役の初期版です)
更にコンピュータで予測するという話では、アタックNo.1 の、「機械バレーとの対決」という話がありました。



民話などでは、偶然によってサトリを出し抜いた。ということで、話は終了するわけですが、カイジやルパン三世のような漫画やアニメでは、偶然の勝利で終わらせるわけには行きません。やはりヒーローですので、敵をねじ伏せなければならないのです。

例えば、ルパン三世では、ルパンのキマグレにより、コンピュータの裏をかくという結末になっています。ちょっと安易な感じもしますが、まあ、ルパンらしい結末と言えると思います。
ルパン三世

これがカイジになると次のようになります。

逆境無頼カイジ Bet.20 鬼神 福本伸行 日本テレビ
カイジ20鬼神
利根川は、カイジの耳に付けた器具から、脈拍・発汗・体温などを感知して、そのデータを自分の腕時計に送って、カイジの心の中を読んでいたわけですが、カイジは、それに気付いて自ら耳を切り落として、他人に持たせて、利根川の超能力 (イカサマ) に完全に打ち勝ちます。

僕はこの話を見て、
フィリップ・K・ディック 「タイタンのゲーム・プレーヤー」
というSF小説を思い出しました。話は次のようなものです。

地球人は、タイタンからやってきた、異星人と、ゲームで対決しなければならなくなります。ゲームは人生ゲームのようなもので、伏せたカードを引いて、カードの数だけ駒を進めるというものなのですが、ルールとして、ブラフを使うことができます。つまり、実際のカードの数に従わずに駒を動かすことができるのです。相手方は、それがブラフだと思ったら、ブラフだとクレームをつけることができます。その場合、カードを公開して、それが実際にブラフだった場合は、ブラフをした者にペナルティーが科せられ、それがブラフでなかった場合は、クレームをつけた方にペナルティーが科せられるというものです。

ところがこのタイタンの異星人には、人の心を読む能力があるのです。ですから地球人がブラフをすればすぐにばれてしまうので、地球人側は圧倒的に不利になるわけです。
そこで、この不利を解消するために、地球人側は予知能力者を仲間に入れます。この予知能力者をどう使うかというと・・・・

予知能力者に、予知能力を疎外する薬と、疎外しないみせかけの薬を、ランダムに飲ませます。そして、予知能力者はカードの数字を見ないで、心の浮かんだ数だけ駒を進めます。

もしも彼が、予知能力を疎外する薬を飲んだ場合は、その数は間違っていることになり、ブラフと同じ効果が出ます。予知能力を疎外しない薬を飲んだ場合は、彼の予知能力は正常に働き、そのカードの正確な数だけ駒を進めることができるのです。

この戦略により、地球人は異星人にゲームで勝つことができます。(実際には、地球人が勝つには、もう一つのファクターがありますが、それは、ここでは省略します。)

ところで、カイジの「自ら耳を切り落とす」 という行為は、「危機を脱するために身体の一部を犠牲にする」という話の類型と見ることもできます。罠にかかった動物が、脚を引きちぎって罠から抜け出すというような話が一般的ですが、カイジに近い話としては、グリム童話 「強盗とその息子たち」 という話があります。

強盗は、大男のところへ泥棒に入るのですが、大男に見つかって色々な目にあいます。しかし強盗は大男の目をつぶしてなんとか逃げきることができます。すると大男が、「お前は大した奴だから、褒美にこの指輪をやろう」と言って指輪を渡します。しかしその指輪には魔法がかけられていて、強盗が指輪をつけた途端に、指輪が、「ここにいるぞ。ここにいるぞ。」と大声で叫びます。大男はこの声を頼りに、強盗を捕まえようとします。強盗は指輪を抜こうとしますが、どうしても抜けません。そこで、強盗は自らの指を噛み切って指輪を身から外して大男から逃げおおせる。・・・という話になっています。
(類話としては、その指輪を崖に投じて、大男はそれを追って、谷底に落ちて死ぬ。となっているものもあります。こういうのは、相手の放った追尾ミサイルから逃げ回って、最後にミサイルを放った相手にうまくぶつける。というようなモチーフにも通じるものがありますね。)

ところでカイジについて、一つ気になる点があります。カイジは自ら耳を切り落として、相手のイカサマに打ち勝って、900万円を手にするわけですが、しかしこの900万円というのは、単にギャンブルに勝った分を手にしたに過ぎないのです。本来ならば、利根川たちに、イカサマの代償を支払わせなければなりません。

イカサマというのは、見破られた時には、「破滅」というくらいの、リスクを覚悟しなければならないものです。リスクの伴わないイカサマなど、それはイカサマではなく、絶対的な暴力でしかないのです。
ですから、カイジがイカサマに打ち勝った時点で、利根川ばかりでなく、このイカサマを知っていた、兵頭和尊も全てお仕舞いにならなければならないのです。
でもこれらのことも、話に勢いがあるので、不自然さを感じさせないところが、この漫画のすごいところですね。

2008/2/27日追加
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posted by ranma at 02:00 | TrackBack(0) | らんま1/2テレビアニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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